◆ 5/17~21 まで東京出張でした。 20日に上野の若冲展へ… 予想はしていたものの、恐るべき行列。
あきらめて、翌21日、再挑戦。行列と館内状況を報告します。 しかしながら、こんな状況を放っておいて良いものか??
マスコミは、舛添都知事のケチもんだいばかり追いかけないで、もっとこっちの問題を扱って欲しいモノだ。
◆2016年 5月20日 午後5時半
金曜日のため、20時まで開館 (通常は17時閉館)
33日間の会期で5月24日終了のため、残りあと4日。
夜間開館時なら…混雑はまだいつもよりマシだろうと…
みなさん同じように考えるようで、混雑は変わらず。
210分待ちとは、3時間半ってことですね。
◆上野公園の中央部まで延びる行列!
私が上野公園に着いたのは17:30だった。
「19時半まで並んだ方は入場できます」とのことであった。
ウ~ム、今日はすでにいろんな所を歩き廻ってきたから疲れてる、
今日は断念!
私は、歩いて20分のホテル泊だから、「朝一番に並べば大丈夫だろう」
翌朝、再チャレンジすることにしました。
◆ 5月21日 朝7時 朝日が眩い。
ホテルのモーニング食は、7時スタートです。
私は6:20にホテルを出て、
途中の、24時間営業の「富士そば」で、かけソバを食べてエネルギー充填。
都美術館のゲートに到着したのだが、
朝7時というのに、すでに300人は並んでいる。
こんなに早く、
この人たちは、どこから・どうやって来たんだろうか?
◆ 警備の方にお尋ねしました。
「先頭の人はいつから並んでるの?」
「3時いや2時からでしょうか…」
ゲートの前に、椅子やシート持参した猛者たちの図。
こうした光景が、連日続いていたという…
◆ネットにUpされていた、行列の説明図に、少し追加しました。
▼=ゲート位置 ●=私の並び始め位置
赤線部分は屋外、
この並ばせ方は、日によって違っていたようだ。
5月だったからまだ良いものの、真夏や真冬だったなら急患続出だったろう。
先週は雨の日が多かった。
「雨ならば、少しは混雑しないのでは… 皆さん考えは同じで、効果なしだったそう」
本日は、快晴、20度、そよ風、絶好の行列日和ですね。
今日の行列は、どこまで延びるやら?
◆私は、7時20分に行列に参加した。
先頭からは、300メートルくらいかな。
入場開始予定は「9時」ってことは、
この位置は9時まで移動しないってことです。
私の周囲の人々は、レジャーシートや簡易イスでリラックス。
「運動会の場所取りみたいね」って声も聞こえてきた。
皆さん、相当の覚悟で来てるから、
並ばせられることへの不満も疑問も、皆無ってところが面白い。
8時過ぎ、とつぜん列が動いた。
「開館したんじゃないの?」
本来の開館時刻は9時半。でも昨日は9時に開館したそうな。
「さらに1時間早めて開けたんだよキット」
◆列の後ろを見ると、8時の時点で、もはや最後尾は確認不能になった。
まだまだ、続々と観客の群れが押し寄せてくる。
恐ろしさを感じる。 さすがに子供連れなんて皆無です。
私は、退屈しのぎに、隣の70代の夫婦とおしゃべりしながら待ちました。
「あんた、若冲って、以前から知ってたの?」
って聞かれたから「ハイ」って答えた。
「オレ、全然知らなかったヨ、家内が行こうっていうから来たんだ」
「オレ、みたいのまで見に来ちゃうんだから、混雑しちゃうはずだよな」
「昨日来たけど諦めて動物園に行ったんだ。今朝は5時半に家を出てきたんだ」
別のおばさんも
「私も、昨日来てあきらめて、また出直したのよ。今日はイス持って来た」
「なんだ皆さん、同じようなんだね」
「65才過ぎてるから二人で2千円だ。シルバー割引はいいね」
楽しく行列出来ました。
◆私の位置が、やっとゲートに近づいた。
このあたりで、急に列がクネクネと折れ曲がり始めた、
距離をカセグためだろう。
少し暑くなってきた。
「日傘は要りませんか?」
係員が、台車に日傘を一杯乗せて、配ってる。
紙コップとウオーターサーバーの「給水所」が数カ所ある。
運営側としては「熱射病対策を配慮してますよ」ってことですね。
◆ゲートを超えても、ここをさらに一周させられる。
まるで、マラソンがゴールするスタジアムのようですな。
その後、屋外エスカレーターで地階へ。
ここまで来ると、
「先が見えて来たねー」との声が聞こえ、
皆さんの顔が明るくなる。
私が建物に入れたのは、9:20 。
並び始めて、2時間が経過していた。
◆屋内に入ってからは、
1列に10人程がならばせられ、 約200人ごとに区切られる。
赤い看板を目にすると、
「よく、我慢したナ… って、自分を褒めたくなる」
建物に入ってから20分経過
モギリのお嬢さんに、しずしずとチケットを差し出す。
9:40 、ついに会場に入場できました。
さあ、この膨大な観客を、次々と飲み込んでいく会場は
どんな仕組みなのか?
果たして、若冲の作品はマトモに観ることが出来るのか?
◆展示会場に入る。
ネット情報によると、
「最初の第一室は無視して、上の階へ上がれ」とあった。
確かに上に上がると、会場内はそんなに混乱していない。
作品によって混雑してるところと、空いてるところのムラがある。
屏風や襖絵の前は、こんな感じでけっこうゆったり目です。
◆ 「動植採絵」30点は今回一番の「目玉」です。
1Fの一室全部をつかってグルりと取り囲むように、オシャレに展示されている。
「右側から見て下さ~い」
「空いているところからみてくださ~い」
通常警備の3倍の人数がいる誘導係員が、必死に声をかけている。
有名どころの作品には、まるで砂糖に群がるアリのような状態。
よくぞ小競り合いが起きないものだ。
どうやらチャイニーズはここまで侵入していないようだった。
◆ とはいえ、30点の「動植採絵」は、
それぞれの作品間隔が1メートルほどしかないため人の流れが極端に悪い。
最前列の人はほとんど動けない。2列目のひとは、前列のスキマから覗く感じ。
3列目以降の位置からは、タテ長作品の 上3分の一ほどしか見えません。
係員が、動くように呼びかけるのだが、満員電車状態のまま。
これは、どう考えても、オシャレに展示したでしょっていう、見栄え優先展示だ。
観客移動の動線が全く無視されている。
おバカさん展示ですね。
◆ 今回展の、もう一つの目玉は、
デジタルふうドット絵で描かれた、 巨大な「鳥獣花木図屏風」
あの、ゾウさんの屏風絵ですね。
ここもまたラッシュアワー状態で近づけない。
人の頭で、「絵がほとんど見えない」
私は会場に1時間ほどいましたが、
全作品数のうちの「三分の一」ほど、しかも
「画面上部半分」が見られたかどうかって感じでした。
でも、図版からは得られない、画面の四隅まで張り詰めた徹底描写を
実感出来ただけでも嬉しく思えました。
ガンバッテ、スキを見て、上手に割り込めば、もっと多く観ることは可能です。
しかし、若冲のほとんどの作品は画集で観ることが出来ます。
だから、私は無理して割り込んでまで観る気にはなりませんでした。
◆ こんなに巨大規模の若冲の展示は、 おそらくもう無いでしょう。
そして、こんなに酷い混雑した展覧会も、もうこれきりにして欲しいですね。
これだけ酷い状況であっても、会場では多くの観客が文句も言いません。
それほど若冲の作品の素晴らしいイメージが、
見る人の心に響いたからなのでしょう。
私も、久しぶりに、ステキな絵描きの心に触れて、胸が熱くなりました。
本物の絵描きさんによる「ホントの絵」の素晴らしさを実感しました。
作品の上の部分しか見えなくても、幸せを感じました。
前日は、1万人の予想が、1万7千人の入場者だったそうですよ。
この行列と混雑では、「観客も」そして「作品も」とっても可哀想です。
何とかしなくてはいけません。
4年前、ニューヨークのMOMAで、特別展の「マティス展」を見ました。
何時に来ればすぐに入れる時間指定の券を渡されました。
時間が来るまで、MOMAの「常設展示」をみてから、指定時刻に「マティス展」へ。人数調整された会場ではゆったりと鑑賞出来ました。
デイスニーランドのファストパスみたいな方法など、すでにいろいろな観客重視の方法が取られています。
いったい、東京都美術館は何をやっとるのか??
都美術館は東京都の運営ですな。
そして、今の都知事の舛添さんは、なんと自称、美術愛好家だそうな…
きっと、本物の愛好家じゃ無いだろうケドネ
おしまい